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いい時は最高、悪い時は最低

世界がもし100人のレアンドロだったならば(ACL2020GL 東京 1-0 パースグローリー)

グローリーの中の人「やだコイツ等超キモい…」

土曜日に来日したパースグローリー。

日曜、月曜と試合に向けて調整していたはずだが、1枚の写真から練習場所が特定されることに。パースグローリーの中の人に「やだコイツ等超キモい…」と思われれば本望です。分かったかこれがアジアだ、ACLだ!(謎のマウント)

 

パースグローリーはACL初参戦かつ東京戦がリーグ初戦だった。コロナウイルスの風評がありながらも、東京という場所に関してはいい印象を持ってくれていたみたいで何より。

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渋谷センター街を背景に使うと言う斬新な試合告知画像(パース公式)

 前半の見どころはボヨヨンキック

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東京vsパースグローリー


パースグローリーは「一昨年の横浜マリノス」のようなサッカーをしてきた。高いラインを保ちながら細かくボールをつないでくるが、縦への推進力を欠くサッカーだ。

それに対峙するならば、中央を固めた守備でサイドにボールを引導し、前に進めない相手が苦し紛れに上げたクロスを回収して、相手守備の裏を目指して速攻…で対処すればよい。

 

ただ問題は現時点での東京の4-1-2-3の守備は「縦に間延びしやすく/横のスライドが間に合わず/クロスを上げる余裕を与えてしまう」という構造。こうなるとクロスボールを跳ね返してもセカンドボールが拾えないし、味方の間でボールを受けたり剥がされたりするので、全体がゆるゆるになる。「豆腐でできた家をアリがちょこまか食い荒らす」と思えば分かりやすいようで分かりにくい。

 

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ACL三種の神器の一つ、中華鍋


結果、相手がやりたいサッカーを受ける形になった。

守備については決定機を作られることはなかったものの、グローリーのFWからプレスを受けた林が苦し紛れに蹴りだすボヨヨンキック土肥ちゃんの面影を見てしまうザマだった。

 攻撃についてもパースグローリーは穴が少ない構造(縦はコンパクト+横は5バック)の守備だったため、例えボールを保持しても時間的余裕もつなぐ場所もなく、ディエゴやアダイウトンのスピードを活かせず仕舞いだった。

 

こりゃ駄目だ。こんな時はしっかり応援するしかない」と、俺の後方から聞こえてきた会話だけが、前半唯一の収穫だった。

 

 

布陣で翻弄できぬなら走って圧をかけましょう

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試合結果を伝えるパース公式の画像


長谷川監督は「布陣ややり方の変更」と言うしっかり インプットが必要な修正に関しては、ハーフタイムに行うことが多い。

高萩を前に出しディエゴと2トップ気味にし4-4-2っぽい守備に変更してきた後半(俺にはそう見えたが諸説あるのは認める)は、高い位置で相手ボールを回収することが可能になり、次第に東京がパースグローリーを追い詰める展開になった。

またコンディションの問題なのか前半思ったよりボールが握れてその分走ってしまった影響なのか、相手の運動量が落ちてきたこともあり、室屋と小川の両サイドバックが攻撃に参加できる回数も増えてきた。

 

後半15分、アダイウトンに代えて紺野を投入したあたりから、「布陣で翻弄できぬなら走って圧をかけましょう」という長谷川サッカーの真骨頂が発揮され始めた。紺野のドリブルが相手の守備陣を引き裂き始める。しかし何とか勝ち点1を持ち帰りたいパースグローリーもそこは必死に粘りの守備。未知の相手に対処しながら、その時その時の最適解を最後まで出し続けないといけないACLの楽しさが頂点に達した時に、均衡が崩れた。

 

 

レアンドロからのパスを受ける形で相手ペナルティエリアに侵入した安部が、マイナス気味にボールをレアンドロに折り返す。レアンドロは戻ってくるボールに目を奪われて相手の寄せが遅れた隙を見逃さなかった。右足からややループ気味に放たれたボールが、必死に伸ばされた相手GKの指先を超えて、ゴール左のサイドネットへ吸い込まれた。

レアンドロの個人技が膠着状況を打開した。1センチ1秒が勝敗を左右するACLの醍醐味が如実に表れた。

報知新聞が試合の寸評で「レアンドロのパスを受けるレアンドロがいればと思っていたが、結局一人で決めてしまった」と詩的な表現で賞賛していた。

世界がもし100人のレアンドロだったならば、レアンドロ東京スタジアムで描いた美しいカーブは、東京ACL優勝にかかる約束の橋だ。

 

 

世界的に大人気の中華鍋

こうして1-0でオーストラリアのパースグローリーを東京は撃退した。

しかしゴール裏に陣取る東京烈風隊は、試合終了後にパースグローリーのフーリガンの襲撃を受けた。

 

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中華鍋を手にしたパースグローリーのフーリガン

ACLと言えば中華鍋。世界に羽ばたく中華鍋。


東京がはじめてACLに参加した2012年に対戦したブリスベン=ロアーもそうだったけど、オーストラリアのファンとは相性がいいのかも。互いに目の前のものを楽しむ主義だからかもしれない。

これを機に東京烈風隊とパースグローリーの間で友好関係が生まれたら、それはそれで、あ あ 楽 し い 。